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東京家庭裁判所 昭和60年(家)9937号 審判

申立人 園田ミロス

申立人法定代理人親権者母 園田タエ

申立人法定代理人親権者父 テオドラキイス・オレステス

主文

申立人の氏「園田」を「テオドラキイス」に変更することを許可する。

理由

1  本件申立書によれば、本件申立ての趣旨は、申立人の氏である「園田」を「テオドラキイス」に変更することの許可を求めるというにあり、その申立ての実情としては、「申立人は、西ベルリンで出生以来ミロス・テオドラキイスで公に登録されており、今後も、このテオドラキイスで生活させるつもりであるから、園田ミロスでは納得できない。」というのである。

2  本件記録によれば、日本国籍を有する申立人法定代理人母園田タエは、昭和58年10月28日ギリシヤ国籍を有する申立人法定代理人オレステス・テオドラキイス(氏名の表示は戸籍上の記載による。)とドイツ連邦共和国において、同国の方式により婚姻し、同人との間に昭和58年11月26日申立人をもうけたこと、申立人は昭和60年6月3日日本国籍の取得により申立人法定代理人園田タエを筆頭者とする戸籍に申立人法定代理人らの長男として入籍されたものであること及び、申立人は、その父母と共に現在西ベルリンに居住しており、出生以来姓をテオドラキイス、名をミロスとして生活してきているもので、日本における戸籍上の氏だけが、戸籍筆頭者との関係で園田とされているため、その氏を母の氏から父の氏に変更することの許可を求めて本件申立てをしているものであることを認めることができる。

3  以上の認定事実によれば、本件申立ては、戸籍法107条4項に基づく氏の変更許可を求めるものとして、これを許可するに足るやむを得ない事由があるものと認められる。ただし、本件申立書の記載及び上記認定事実によれば、申立人法定代理人らは申立人の父の姓の日本語表記としてテオドラキイスを用いていることが認められるが、戸籍法に基づく氏の変更に関する事柄である以上戸籍上の記載表示によるべきところ、申立人の戸籍上の父欄における父の姓はテオドラキイスであるから、本件申立てについては申立人の氏を園田からテオドラキイスに変更するものとしてこれを許可するのが相当である。

4  よつて、主文のとおり審判する。

(家事審判官 山田博)

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